So-net無料ブログ作成

最後まで諦めなかった伝説の生徒 [受験生たちへ]

最近の生徒はあきらめが早い。どうせ駄目だからと思っているのか、傷つきたくないのかは、人それぞれだが、一生懸命やることがない。

数年前に工学部に進学した生徒が私のところにやってきて、大学の授業のノートを見せてくれた。

見せてくれたノートは、工学部らしいことを学んでいる様子が見えた。

その卒業生は、とても嬉しそうだった。そして、その嬉しそうな生徒を見て、その生徒が高校生の時のことを思い出した。


高校生の時に、私の授業の数学3Cを受けていた。その生徒はお世辞にも成績が上位にいる生徒ではなかった。むしろ下位にいて、何度も質問に来る生徒だった。野球部に所属し、それが終わってから勉強をしたからというわけではないが、来る日も来る日も居残って学習していた。その質問がしつこい。私が職員室にいると、それを待ち伏せて勉強をしている。「ここわからないんですけど・・・」聞くポイントはいつも基本的なことばかりだった。そして教科書傍用問題集を1問1問やっているのだが、いちいちわからない。「平方完成の仕方」「余弦定理定理の使い方」「指数法則」「logとは何か」「加法定理」「二倍角の公式の作り方」「半角の公式」「三角関数の合成の仕方」「合成関数の微分」・・・。

そこで、いちいちわからない生徒があまりにもしつこくなったので、自分の仕事をその生徒の隣でするほどになった。聞くことがそれほど多かったのである。そんなことが続いた。他の先生は恐らく、心の中で「あいつが国公立大学に合格するわけがない」とたぶん思っていたと思うし、自分も、「言うのは良いけれども、結局どこかで妥協するしかなくなるのかな」・・・と何となく思っていた。それでもその生徒はしつこく聞いてきた。本当にしつこかったので、ひよっとすると、他教科の先生はあまり関わらないようにしていたのかも知れない。でも、せっかく聞きに来ていたので私はとりあえず対応はしていた。冬の寒いときだろうが、冬休みだろうが直前までしつこかったが、聞かれたことには答えていた。でも、正直な話、私もだから合格するだろうとは思えなかった。たぶん、彼の友人もそういうシナリオが待っているとは思っていなかったのではないだろうか。

ところが、センター試験が終わって、その判定を見ると、他の生徒はいまいちだったのに、その生徒にB判定がついた。うちの学校の生徒の中でもお世辞にも力がある生徒ではない生徒が国公立大学のB判定?結局、残念ながら、2次の実力がなかったので、一浪してしまったが、一浪しても合格するかどうか心配だった。浪人中には精神的にかなりしんどい時期があったようだが、無事、翌年、その大学に合格した。私の中ではこの卒業生は本校の進路実績の隠れた伝説だと思う。本人には申し訳ないが、それほどびっくりすることであった。

そして、学校に久しぶりに来た彼は、ノートに積分記号がたくさんあるような問題やオイラーの定理を理解して使って解けた話を、喜々として私に語るのである。


受験は気持ちの部分が大きいということをあらためて感じさせられた。1つ言えることは、たぶん彼の勉強を一番面倒を見ていただろう私から見るに、わからないことをわかろうとするという意味では妥協のない生徒であったという1点に尽きた。

たぶん限界を自分自身で引いてしまって、みんなは妥協している部分もあるんだろうなと思う出来事である。その生徒のことはいまだに思い出す。「体を壊すほど頑張れ」とは言わないが、自分で限界を引いてしまわないでやれるだけやってみることの大切さを学んだ。やらないで後悔するよりも、やって後悔する方がよい。気持ちがあればまだまだ伸びしろはあるものなのかもしれない。すべてはやってみないとわからない。


そして、高い山を登り切って、高いところから見下ろす気色はきっと最高だ。その景色を見ることができた彼の将来が本当に楽しみだ。
nice!(7)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学校

nice! 7

コメント 2

snoopy3号

風邪で受験日前日に熱を出して、試験を欠席させようと思っていた私に「死んでもいいから受験させてください」ってメールをくれた先生のこと、思い出しました。
保健室受験が出来るはずだって。
息子も、毎日毎日ずいぶんお世話になりましたよね・・。
何だか、そんな日が懐かしい・・・。
by snoopy3号 (2011-09-15 18:49) 

bashy0322

>snoopy3号さん
 そんなこと言いましたっけ?この文章だけ見たら、鬼以外の何物でもないですね。いつの話だろう・・・。


 全く関係ありませんが、ある生徒に「死ぬ気で勉強しろ」と言ったら、その生徒がカンニングしました。その理由が「死ぬ気で勉強できなかったのでカンニングした」といった生徒のことを思い出しました。今、彼は何をしているのだろうか・・・。

 勤めている年数が増えると、そういうエピソードには事欠かなくなりますね。
by bashy0322 (2011-09-15 21:54) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0